人恋し昼餉の席や春日影

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 今朝は主人の迎えの車が少し遅れているようで、すぐに出られるように、主人を立たせて足踏みしたり腕を回したりと私も一緒に運動して時間を持たせていたのですが、

なかなか車が到着しないうちに、主人は座ってしまいました。

 

 やっとチャイムが鳴って、主人を呼ぶと行かないと言い出しました。何とか玄関に連れて行くとやはり行かないと繰り返します。慣れたもので介護士さんが「皆に歌を教えて下さい。」というと素直に手を引かれて出て行きました。車の同乗者が私の顔を知っている方のようで手を振ってくれました。なにしろ車に乗るとマスクをかけるので此方からはどなたか見分けがつきません。毎回運転手さんも窓を開けて「行って来ます。」と挨拶します。

 

 送り出した後は、しばらくぼーっとして何も手につきません。何かするべき事があったなと思いを巡らして思い出しました。午後の書道ボランティアに持って行くお手本を

見繕う事でした。使用済みのテキストの中から数点選んで付箋を付けておきました。

 

 昼食を一人で食べる事にまだ慣れなくて、なんとも味気ない思いがします。台所の窓から春の日差しが部屋の奥まで入ってくるようになりました。床に日の影がはっきり映ると気分が明るくなります。

 

 ボランティアに入ると、主人は両隣の人と歌の本を見ながら小声で歌っているようでした。右側の女性は我が家の一軒置いた先のお婆さんでした。恐らく互いに知らないと思います。どちらも書道には参加せずゲーム室の方へ行きました。

 

 4時前に主人が帰ってきました。迎えに出ると介護士さんが空を指さしました。

白い雪が降ってきていました。車が発車すると中の人達が皆手を振っていました。

振り返ると主人も車に向かって手を振っていました。