切れ切れの言葉の先や春暑し

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 バス亭でOさんを待ちながら隣接する空き地に目をやると、紫の可憐な花が咲いていました。花大根です。立葵の葉も土から芽を出しています。ベンチに座っていると

日差しが強く帽子を被ってきて良かったと思いました。

 

 暫くぶりに会うOさんは変わりなく元気そうでした。ただ両方の耳に補聴器をつけていて、歩く人の足音や雑音も夜寝るときに外すとようやく静かになってほっとするようです。見た目には耳が遠くなったようには見えないのですが。

 

 Sさんの病室に入るとSさんはベッドに横になっていました。別人のように痩せて弱々しくなっていました。胴の所がベルトでベッドに固定されていて、横向きのままでした。私達を認識しているようで喜んでくれました。持参した写真を見せると懐かしそうにいつまでも眺めていました。写真の中の人物は皆わかったようでした。

 

 時々意味不明な言葉をいって、返事に戸惑いました。Oさんは耳のせいで聞き取れなくてとんちんかんな返事をして隣のベッドの人が笑っているかもと言っていましたが

耳を口元に近づけて聞いても、意味が汲み取れません。Oさんの耳のせいでは無いようです。娘さんは言語障害が出ていると言っていたようなので、どうしても言葉にならないのかも知れません。

 

 「早く、早く、早く」としきりに言うのですがその先が出ないようで、「早く良くなりましょうね。」というとうなずきました。早く良くなって家に帰れますように。

「・・・・・おしまい。」と言ったとき、長居して疲れさせてもと、病室を出ました。

 

 Oさんと駅近くの大戸屋で食事をしました。数年ぶりなので次から次から話は尽きません。彼女の住まいは坂の上の方なので、年と共に行き来するのが億劫になって疎遠になっていました。食事の後はセンター北へいくというOさんと別行動で帰ってきました。