冬瓜や安達ヶ原の婆となる

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 昨日届いた産直野菜の中に冬瓜が入っていました。堅い皮のおかげでこのまま置いても冬までは持つらしいのですが、狭い台所の邪魔になるので、用途別に切り分けて冷凍する事にしました。

 まずは包丁の刃をこするだけの砥石で研いで、冬瓜に刃を立てました。それほど大きな冬瓜ではありませんが、渾身の力を込めて半分に切るのがやっとです。

 以前次男が私の包丁を見て刃が無いと言った事がありました。昔ながらの砥石でやたらと前後に研いでもそれで良いのかさえ解らずに、気休めに動かしているだけです。

果たして上手く研げたのかどうか。少し切れ味が良くなった気はしています。これでも

何十年も同じ包丁を使い続けていて、料理をしているのですから何の差し障りもありません。

 夜、思い出したように包丁を研ぐと、決まって安達ヶ原の鬼婆の言い伝えを思い出します。宿に泊めた妊婦の腹を割いて胎児の肝を取り出した、恐ろしい話です。しかもそれは昔別れた娘だったという哀れな落ちが付いています。

 生まれ故郷の昔話ですが、なんとも恐ろしい話です。なのに私と来たら白髪の自分が包丁を研ぐ図を茶化してしまいます。

 さて冬瓜は四分の一を味噌汁用に、もう四分の一は煮物用にジップロックに入れて冷凍しました。残りは鶏肉と共にコトコト煮て今晩のおかずにしました。とろりと柔らかく、薄味にしたのでスープも飲めて美味しく出来ました。